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キタトックリクジラの知られざる潜水能力 | 水深2300mの記録を持つ凄腕ダイバー

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Takeru Yamada
2021.05.12

Contents


まとめ

  • キタトックリクジラは最長94分間,最深2,339mの潜水能力がある

はじめに

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北大西洋に生息しているキタトックリクジラの生態をバイオロギングによって調査した研究の紹介です.

Miller, P J O et al. “First indications that northern bottlenose whales are sensitive to behavioural disturbance from anthropogenic noise.” Royal Society open science vol. 2,6 140484. 3 Jun. 2015, doi:10.1098/rsos.140484

キタトックリクジラって何?という方は この記事 を読んでください.

バイオロギングって何?という方は ペンギンが教えてくれた物理のはなし という本を読んでください.

では早速,研究の紹介をはじめます.


紹介する内容

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この研究の焦点は,人的活動がキタトックリクジラの生態にどれくらいの影響を与えているのか調べよう,です.

ですが,自分のこの研究に対する興味は,キタトックリクジラの潜水能力にあります.

どれくらい深く潜れて,どれくらい長く潜れるのか,という興味です.

研究者たちは人的活動による生態への影響について報告していますが, この記事ではキタトックリクジラの潜水能力に焦点を絞ってお話をします.

もしも人的活動がキタトックリクジラの生態にどれくらいの影響を与えているのか知りたい方は, 原著論文を読んでください.

では,キタトックリクジラの潜水能力について見ていきましょう.


潜水能力

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結論です.

この研究によれば,キタトックリクジラは最長94分間で最深2,339mまで潜水できるようです.

次の図は論文中に掲載されている Figure 1 です↓

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図の (a) が測定したキタトックリクジラ1頭の時間–深度グラフです.

図 (a) の中の x=10h のところでめちゃめちゃ深く潜っていることがわかります. この潜水が研究によって得られた最長時間最深度の潜水結果というわけ.

片道東京スカイツリー4個分の深さを映画1本分くらいの時間をかけて往復するというイメージですね. 東京スカイツリー8個分もの長さを映画1本観ている間に泳ぎ切ってしまうと.

すごいですね,キタトックリクジラ. ちなみにこの記録,この種では新記録だそうです. まぁ2015年の論文なので,もしかしたら最新の研究によって記録が塗り替えられているかもしれませんが. 2015年時点ではこれがキタトックリクジラにとって最大の潜水記録ということです.

ちなみになんですが, 研究の手法は13頭のキタトックリクジラにバイオロギング装置を取り付けてそれぞれ18時間程度測定したようです. クジラに取り付けてから18時間後に装置がクジラから外れて,装置を回収しに行くという流れっぽいです.

取り付け作業って大変なんでしょうね. 研究論文ではその取り付け作業の大変さが滲み出てこないのでさらっと取り付けたような印象ですが. 実際のフィールドでは取り付けが一番大変なんじゃないかなーと思います. お疲れ様です.


おわりに

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キタトックリクジラの潜水能力の紹介でした.

最長94分間,最深2,339mの潜水.

凄かったですね.

水深2,000mって深海ですよね. 深海に何をしに行ってるんでしょうか? ゴハンを求めに行っているのかなーと思っています. が,そこまで深く潜る理由がわからないです. この論文をもっとじっくり読んだらわかるかもしれないですね.

あと,ミナミトックリクジラは同様の潜水能力を持っているのか,はたまた全然違う生態なのか.

知れば知るほど疑問が生まれる,科学はこれだから面白い.

今回は潜水能力だけに焦点を絞ったので,これでおしまいです.

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最後までお読みいただきありがとうございました.

今日も良い一日を!


参考文献

Miller, P J O et al. “First indications that northern bottlenose whales are sensitive to behavioural disturbance from anthropogenic noise.” Royal Society open science vol. 2,6 140484. 3 Jun. 2015, doi:10.1098/rsos.140484


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